地の声(ちのこえ)

偉い人の声は天の声。庶民の声は地の声

小さな子供が混んでいる電車の中で、座席に座っている。

レストランや映画館やコンサートホールで騒いでいる。

親は平気で何も注意しない。

誰かが注意すると、親はその人をにらみ返す。

こんな光景がよく見られるようになりました。

こう言うと、

それじゃあ小さな子供がいる者はレストランに食事に行ったり映画を見に行ってはいけないのかという反論があります。

そうです

行ってはいけないのです

行くのなら、もっと聞き分けのあるようになってからか

きちんと躾けてから行きなさい

私は、子どもと電車に乗る時は必ず膝の上に乗せました

少し大きくなってからは、よほどすいている時以外は立たせました。

「お前たちは無料か半額で乗せてもらっているのだから座る資格はありません」

と言って聞かせました。

赤坂のレストランで、取引先のお客様と食事をしていた時のことです

そのレストランは、超高級な店というわけではありませんが

ちょっと小洒落た店で、ビジネスマンが主流の店です

そこに、幼稚園と小学低学年位の男の子を連れた母親が入ってきました

家族連れでしかも小さな子供連れの客は見たことが無かったので

騒がれたらいやだなと思って見ていました

ボーイも「ここはお前たちの来る店では無いんだよ」

というような露骨にいやな顔をして、仕方なしに私たちの隣の席に案内しました

三人はメニュウを見て料理を注文し静かに話をしていました

それとなく聞いていると、この店は母親が結婚前に仕事で時々利用していた店で、一度子供たちを連れてきたかったんだということでした。

小さな子供たちも、器用にナイフとフォークを使いながらにこやかに食事を終えるとレジに向かいました。

母親がレジを済ませる横で、二人の子供は

何時もそうしているようで「ごちそうさまでした」と頭を下げました

露骨にいやな顔をしたボーイは

「有り難うございました。またお越し下さい」

と、今度はにっこり笑顔で出口まで送りました

「こんな家族もいるのだ」

と私たちは清々しい気持ちになりました